#059 多摩美術大学で講義します 2010.10.21.THU
■阪神はダメだった。もう本当にダメだ。ダメだなあ。何がダメと言って、こんなにダメな巨人に歯が立たなかったことがダメで仕方が無い。猛省を促したい。
■そんなわけで唐突ですが、明日(22日)に多摩美で講義します。講義というか、まあ何かぼそぼそ喋るだけ、という感じになるとは思いますが。総合講座デザイン論というやつです。すいません、授業の趣旨をあまり明確に理解してないのですが。2時半くらいなのかな?どうもロクなことにはならない気もしますが、多摩美の学生の方はまあ、お手柔らかに宜しくお願いしますね。
■で、その講義で使おうと思って、今日は夕方から、以前の舞台の資料や台本、録画映像などを観ていたのだが、意外なほど楽しんでしまった。何しろほとんど何も覚えていない。本当に覚えてないのだ。このハナシはこの先どうなるんだろう、とか、ああここはこうすれば良かったのに、とまるで他人の作った作品のように観てしまった。そして、まあバカみたいなこと言いますけど、それはイチイチ僕の好みにあった舞台なのですね。僕が作ってるんだから当たり前なんですけど。勿論いろいろ未熟だし、チープなんですけどね。もっと恥ずかしくて見られないかと思ってたんだけど、そんなことは無かった。楽しめた。
■その理由の一つはきっと、舞台は私独りの作品ではないからだ。100パーセント自分だけで作った作品だったら、ここまで冷静には観られないだろう。他人が作った部分が凄く多い。本当にいろいろな人が関わってくれている。単純な作業量からいえば私の作っている部分は全体の半分もない。多くても三分の一くらいだろう。頭が下がる。本当に下がるよ。特にスタッフには迷惑しかかけていない。迷惑をかけるために生まれた迷惑生産マシーンだと言われても否定できない。ひしゃくで迷惑を掬ってはぶっかけて回る男。この迷惑でも喰らえ!脳裏に浮かぶアノ人、ソノ人。思い出せば皆、私の撒き散らした迷惑を頭から滴らせながら作業をしてくれていた。私がしたことといえばデカイ顔くらいだ。まあ元からデカイんだけど。
■不思議なことに芝居の内容そのものはほとんど何も覚えていないのに、その公演中に交わした会話や飲みにいった店、あるいは小屋入りの朝、徹夜で打ち合わせをした後、朝食を買いにコンビニまで歩いたときの空気などはありありと思い出すことが出来る。『思い出作り』のために芝居をすることだけはしたくない、そう思ってきたし、今もそう思っている。しかしそんな私の意志とは無関係に、思い出は凄いスピードで後ろから付いてくる。甘美な誘惑に足を取られそうにもなる。それを振り切る方法は唯一つ、次の新しい芝居のことを考えるしかない。本当にそれしかないのだ。
■そんなわけで明日は私なりの「物語」について話そうと思います。物語を書いている、或いは興味のある多摩美の学生さん。宜しければ是非あなたの「物語」も見せてくださいね。楽しみにしています。そういえばそろそろ芸術祭のシーズンだった。演劇部の公演も観に行く。楽しみだ。
小野寺邦彦
ラベル:
トウキョウ・エントロピー