#028 憧れだけで息をしていた 2009.10.5 MON
■プロ野球では東北楽天が3位以内を確定させ、クライマックスシリーズ出場を決めた。エラいなあ。あの楽天がなあ。
■以前別のブログで書いたのだけれど、楽天が創設された初めてのシーズン、西武球場で対西武戦を観たのだ。その試合楽天はアッサリと負けたが、覚えているのは試合の内容ではナイ。7回が終了した際にスコアボードに他球場の結果が映し出された時のコトだ。
■当時私は阪神タイガースのファンであった。万年最下位、弱虎、ダメ虎、と言われていた頃からしかし10数年来、タイガースを応援し続けてきた。だから2003年、2005年とタイガースが優勝した際には狂喜したものである。けれどマア何というか、弱いときにはあれだけ「弱い、弱い」と陰口を叩いていたのに、イザ強くなり過ぎてしまうとソレはソレで詰まらない気がしてくる。強いチームを応援している自分にシラけてしまう瞬間があるのである。そこで楽天だ。何せ勝てる気配の一切ないチーム。開幕戦こそ勝利したものの、二戦目では26対0と期待を裏切らずやってくれた。今年はこのチームを肴にクダを巻いてみようかという気持ちがあった。
■そんな訳でその試合、私は楽天側の応援席に座っていた。で、7回終了後の他球場の結果である。前述した通り、私はタイガースファンでもあるので、一応その結果は気に掛かる。特にその日は阪神―巨人戦、それも首位攻防戦だったハズである。固唾を呑んで結果を待つ私。やがてゆっくりとスコアボードにその結果が映し出される。
「阪神7-2巨人」
その瞬間、地鳴りのような歓声が、楽天側応援席から巻き起こったモノである。何のことはない、楽天の応援席にいた者はほとんど私と同じ考えのタイガースファンだったのである。あれから苦節5年。ヤレば出来る。広島も頑張って欲しい。
■さて公演に関してのお問い合わせの中では、やはりというか、フライヤーのイラストについてのものが多い。
■今回のフライヤーのイラストはマンガ家の朝倉世界一先生に描いて頂きました。高校生の頃、「キューティーコミック」という女の子向けのマンガ雑誌に載っていた「地獄のサラミちゃん」という作品が大好きだった私。「キューティーコミック」には他に安野モヨコとか小野塚カホリとか桜沢エリカとか南Q太とか魚喃キリコなどが一度に載っていた、王様のような雑誌だったので、女子は結構読んでいた。
■サラミちゃんは地獄から地上にやって来て、モデルやデザイナーや女優なんかに憧れながら日々バイトをしているのだが、当時僕の知り合いの女の子には、そういう人が多かった。と言ってそういうことを頻繁に口に出すということではなく、ある時、何かのはずみにポツリと口にするのを聞いたりすることがあった。彼女たちは、クラスではあまり友達が多い方ではなく、どちらかといえば「浮いて」いた。学校や教室よりもバイト先やバンド、ダンスのレッスンなどに賭けていた。そしてそれらのことは全て、僕も同じだった。「憧れ」だけで辛うじて息をしていた。尤も僕は彼女たちとは違って、何もしてはいなかったけれども・・・。
■あれから10年位経って、今僕は何の因果かマーこんなコトをしているけれど、彼女たちはどうしているだろうか。
■朝倉先生は今、「コミックビーム」で世界一格好いいマンガ「デボネア・ドライブ」を描いてます。本当に世界一格好良い。是非読んで下さい。
小野寺邦彦
ラベル:
フロム/失踪者