#024 すれ違って聞くコトバ 2009.8.31 MON


■選挙に行ってきた。

■選挙に行って嬉しいことは、小学校に入れることである。私が通っていた頃とは違って最近はフラリと学校に入ったりなど出来ない。校門周辺には「関係者以外立ち入り禁止」「通報」「不審者」などのモノモノしい看板が立ち並ぶ。運動会でも持ち物チェックなどが行われるという。思うことは様々あるが、マー折角の小学校なので投票を済ませてブラブラする。

■面白かったのは遊具にイチイチ名前を書いた看板が立っていたことである。鉄棒には「てつぼう」、うんていには「うんてい」と書いてある。だがジャングルジムは「じむ」なのだ。異国の響き。そして何故か砂場は「すこっぷあそび」・・・かなり用途を限定してくる。しかし子供は関係なく、そこで相撲を取ったり、砂鉄を探したり、体を埋めたりして遊ぶだろう。もしくは思いもかけない遊びを始めるだろう。それは「すこっぷあそび」ではナイと咎められるかもしれない。「危険な遊び」として禁止されることもあるだろう。若しくはそのような「危険な」遊びが既に咎められた上での「すこっぷあそび」の表示なのかもしれない。だが彼らはその「危険な」遊びをやめる事はないだろう。大人の目の届かない、別の場所でそれをするだけだ。やがて校庭に子供の姿は無くなる。もし本当に大きな事件が起こるとすれば、そこからだと思う。

■帰りがけ、小さな子供を連れた若いお母さんの二人連れとすれ違った。そのとき一瞬、聞こえてきた会話の断片、「どこのお宅でも、二人目(の子供)は、大体声が低いから・・・」という一言に全身が凍りついた。その言葉の真意は分からなかったが、その一言には何か重大な意味があるような気がして、今日は一日、そのことだけを考えていた。二人目は、声が低い・・・様々な示唆に富んだ言葉であると思う。いろいろなことを考える。おかげで大事なセリフが一つ、書けるような気がする。このところ篭ってばかりだった。もっと外へ出よう。街へ出て人とすれ違わなくては。 刺激を与えられるコトバはいつだって、街ですれ違いながら聞く、誰かの一言だ。

■台風が来ている。低血なので朝から少し頭が痛い。8月が終わる日。いつの間にか蝉はもういない。

小野寺邦彦