■前回の話(ネタとヒト)を書いた後、そういえばと思い出すコトがあった。
■先月のオワリ頃、電車で移動中だったときのこと。とある駅で停車し、乗降ドアが開いた瞬間、一人の女性が物凄い勢いで車内に駆け込んできた。そのまま一直線に反対側のドアまで辿りつくと、肩を震わせて嗚咽、こらえきれなかったのかすぐに号泣、おまけにガツン・ガツンとコブシでドアを叩き始める。加えてなにやらブツブツと恨み言めいたコトバまで呟いており、こりゃモウ車内の緊張度が一気に高まります。狸寝入り率がグングンと上昇し、そっと隣の車両に移る人もいる。
■で、この時そのアブナイ女性の隣にいたのが誰あろう私である。名にしおう小心者の私である。注意など出来ようはずもなく、さりとて露骨にその場を離れるというのも気が引ける。ヒエーっと縮こまり、固まっているしかない。
■しかしですよ。さすがにシクシクと泣き崩れ、声にならぬ声を洩らし、つま先で床をつつき、携帯電話を意味無くパコパコ開けたり閉めたりする女性と15分ばかりも隣り合っていて、そ知らぬ顔をしていられますか。そりゃ「何があったの?」と聞いて当たり前だ。勤めて自然な行為だ。自然を愛する私は勤めて自然に話しかける。マア思い切り声が裏返ってしまったが。
■で、その女性である。見ればまだ20歳前後の若さである。涙とハナジルで化粧が流れ出し顔面はドロドロだが、瞳の大きな、普段はナカナカ可愛らしいお嬢さんなのではあるまいか。私の裏返った問いかけに、ほんの一瞬キョトンとした表情を見せたが、次の瞬間には待ってましたとばかりに、猛烈にその理由をまくし立ててきた。ヒルム私。そうか、ひょっとして声をかけられるのを待っていたのか?
■けどマア面白い状況にはなった。若いとは言え、世間的には立派に物事の分別のつく年齢の女性である。そんな女性を公衆の面前であることも構わず号泣させ、壁を叩かせるその理由とは一体何か?果たしてどんな事態が身に降りかかれば、上記のような行動を
「あ~それなら仕方がないよね~」
と納得することが出来るのか?その答えが今、語られようとしているのだ。私は期待して彼女の話に耳を傾ける。さあ、彼女の口から出てくる驚愕の事実とは?(つづく)
■夏である。何だか涼しいが、それでも夏は夏だ。マー君もダルビッシュに投げ勝つ夏。いよいよ台本に手をつける。
小野寺邦彦
■先月のオワリ頃、電車で移動中だったときのこと。とある駅で停車し、乗降ドアが開いた瞬間、一人の女性が物凄い勢いで車内に駆け込んできた。そのまま一直線に反対側のドアまで辿りつくと、肩を震わせて嗚咽、こらえきれなかったのかすぐに号泣、おまけにガツン・ガツンとコブシでドアを叩き始める。加えてなにやらブツブツと恨み言めいたコトバまで呟いており、こりゃモウ車内の緊張度が一気に高まります。狸寝入り率がグングンと上昇し、そっと隣の車両に移る人もいる。
■で、この時そのアブナイ女性の隣にいたのが誰あろう私である。名にしおう小心者の私である。注意など出来ようはずもなく、さりとて露骨にその場を離れるというのも気が引ける。ヒエーっと縮こまり、固まっているしかない。
■しかしですよ。さすがにシクシクと泣き崩れ、声にならぬ声を洩らし、つま先で床をつつき、携帯電話を意味無くパコパコ開けたり閉めたりする女性と15分ばかりも隣り合っていて、そ知らぬ顔をしていられますか。そりゃ「何があったの?」と聞いて当たり前だ。勤めて自然な行為だ。自然を愛する私は勤めて自然に話しかける。マア思い切り声が裏返ってしまったが。
■で、その女性である。見ればまだ20歳前後の若さである。涙とハナジルで化粧が流れ出し顔面はドロドロだが、瞳の大きな、普段はナカナカ可愛らしいお嬢さんなのではあるまいか。私の裏返った問いかけに、ほんの一瞬キョトンとした表情を見せたが、次の瞬間には待ってましたとばかりに、猛烈にその理由をまくし立ててきた。ヒルム私。そうか、ひょっとして声をかけられるのを待っていたのか?
■けどマア面白い状況にはなった。若いとは言え、世間的には立派に物事の分別のつく年齢の女性である。そんな女性を公衆の面前であることも構わず号泣させ、壁を叩かせるその理由とは一体何か?果たしてどんな事態が身に降りかかれば、上記のような行動を
「あ~それなら仕方がないよね~」
と納得することが出来るのか?その答えが今、語られようとしているのだ。私は期待して彼女の話に耳を傾ける。さあ、彼女の口から出てくる驚愕の事実とは?(つづく)
■夏である。何だか涼しいが、それでも夏は夏だ。マー君もダルビッシュに投げ勝つ夏。いよいよ台本に手をつける。
小野寺邦彦