#015 いとこんさん 2009.7.16 THU
■そういえば、イラストについて触れていなかった。
■今回のフライヤーのイラストを書いてくれたのは伊藤彩子さんです。
いとこんさん。
彼女は学生時代には演劇部で、役者もしていた。高校生の頃もやっていたという。僕の演出する舞台にも、二度ばかり出て貰った。一度は演劇部での公演、もう一度は架空畳での第二回公演。その公演で彼女は主役を張り、そして役者を辞めた。
■彼女は舞台の上での冷静さを持ったいい役者で、当時メンバーの誰よりも技術があり、達者だった。
慣れない劇作・演出作業にヒイヒイ言っていた僕は、彼女のうまさに甘えてしまい、ほったらかしにしてしまった。
他に多くの、見なければいけない役者がいて、僕は彼ら・彼女らに演出を付けることに必死だった。
うまかった彼女は、いつも後回しだった。
■公演の直前、稽古の後にぽつりと言われた一言が今も忘れられない。
「私、オノデラさんに演出つけられたこと、ないですよね」
ハッとしたが、もう遅かった。公演が終わり、それが彼女の最後の舞台になった。
■今回、イラストをお願いする際に、僕はモウこれでもか、というほどに口を出した。彼女に書かせたラフ画は50枚を下らないし、構図やパース、書き込まれるモノのディティールまで、しつこいほどに直させた。
そして彼女の絵は、どんどんと良くなっていった。
■僕は彼女が役者時代に、演出家として何も演出をつけることが出来なかった。
いいところを引き出すことが出来なかった。
その埋め合わせをしたかったのかもしれない。
結果出来上がったイラストはステキで、評判も大変よろしかった。
■彼女は今、イラストレーターを目指しているという。もしイラスト関係で御用のある方がいらっしゃいましたら、連絡を下さい。
彼女は、これからどんどん、いい絵を描くと思います。
(↓伊藤さんのサイト。彼女が描いたいろんな絵が見られます)
http://ayako-ito.com/
■そして僕は今でも勿論、劇作・演出にヒイヒイ喘いでいる。全く慣れるということはない。
ただ、うまい役者を後回しにするということだけは、しないようにと思っている。
作家と同じく、役者もまた孤独である。
そこに例外はない。
うまさとは関係なく。
それが彼女から学んだことである。つまり、演出家として一番大切なことを教えて貰った。
■イキナリ夏になってしまった。今年は梅雨が無かったような気がする。 汗をダラダラ流しながら這い回る日々。
小野寺邦彦
ラベル:
生活の冒険